HACCPのポイント
HACCPプランを導入するためには人件費や設備費等の一定の費用は掛かってしまいます。しかし、この費用は工夫ひとつで減らすことができるのです。大きな買い物をする前に一度「目的」を考えてみてください。例えば、ユニフォームから毛髪・埃を取るためにエアシャワーの導入を検討している場合、毛髪・埃を取る「目的」であれば粘着ローラーや掃除機タイプのクリーナーがあり、これらで十分目的が果たせるのであればエアシャワーを買う必要はなくなるのです。この例えはよく見かける置き換えです。高度な設備を設置したが難しくて使えない、置き換え可能だったが大きな買い物になってしまった、とならないように常に「目的」を忘れないように注意が必要です。HACCPの導入でも、「安全な食品を製造するため」という「目的」を忘れないように注意して導入計画を進めてください。
それでは、導入する際の3つのポイントを説明していきます。
1.知ること
まずは、HACCPと自社の現状を知ることが必要です。
① HACCPの要求事項を知る
② HACCPを導入するために必要なことを知る
③ 自社の工場の状態や従業員の状況を知る
④ 取引先などの外部からの要求を知る
HACCPと自社の現状を知ることで、何が必要か、何からやればよいか、要求されていることは何なのかがわかり、自社としての最終目標(制度化への適応、HACCP認証取得、もっと高いレベルの認証(ISO22000等)を目指す 等)といつまでに導入をするのかが自ずと見えてくるのです。
2.維持すること
HACCPは、特定の人だけが知っているだけではなく、全従業員が理解し継続して実施していかなければなりません。HACCP導入時点で全従業員の教育を行ったとしても、月日が経つにつれて従業員の入れ替わりがあったり、慣れや忙しさで手順が簡略化されてしまったり忘れられたりしてしまいます。
HACCPを維持するために、新しい従業員への教育や継続的な教育をして知識と能力を高めていく計画が必要です。
3.効果的に運用すること
HACCPの12手順を理解し、手順書を作成するときに無理なく実務に合わせることが重要です。サンプルの書式をそのまま利用して必要のない手順書や記録を取らないようにしましょう。必要のない記録ばかりがあると無駄な時間がかかってしまいますし、記録を取ることが仕事になって、「安全な食品を製造する」という本来の目的を忘れてしまいかねません。自社に合った手順書・記録表を作成するために、手順書・記録表が完成し運用が始まっても、定期的に無理・無駄がないかを確認し、必要があれば手順書を改訂することが重要です。この「作業に無理・無駄がないかを確認し改善する」ことによって、作業の効率化や歩留まり向上も期待できるのです。
HACCPは導入したら全て大丈夫ということは決してなく、継続して維持していくこと、効果的に運用して改善していくことが一番重要になります。「HACCPを導入すること」が目的にならぬように是非計画を進めていただきたいと思います。
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